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勝どき・晴海タワマン調査で判明!一番高いのは“あの方角”だった
東京都中央区の湾岸エリアは、日本国内でも屈指の注目を集める居住エリアとなっています。高層タワーマンションが林立するこの一帯は、都心部へのアクセスに優れながらも、東京湾の開放的な景観を楽しめるという点で他にはない魅力を持ちます。さらに、再開発やインフラ整備が継続的に進められていることから、住宅市場において資産性の高いエリアとしても広く知られています。
そんな湾岸タワーマンションの大きな特徴の一つが、「眺望によって価格が変わる」という点です。一般的に不動産価格は立地や築年数、設備仕様といった要因で決まりますが、湾岸エリアのタワーマンションにおいては“窓の外に何が広がっているか”が大きなプレミアムを生み出します。同じマンション、同じ階数であっても、見える景色が異なれば坪単価に数十万円もの差が生じることは決して珍しくありません。
そこで今回、中央区の代表的なタワーマンションを対象に「眺望によって坪単価に変化があるのか」を調査しました。
調査対象のマンション
分析の対象としたのは、いずれも中央区を代表する大規模タワーマンションです。
ザ・東京タワーズ シータワー
ザ・東京タワーズ ミッドタワー
勝どきザタワー
パークタワー勝どきサウス
いずれも総戸数1,000戸を超える大規模物件で、取引事例も豊富に存在するため、眺望ごとの価格傾向を分析するには適した対象となります。
調査方法
本調査では、各方角ごとの成約予測坪単価を時系列で散布図化し、そこから近似曲線を描くことで価格水準を比較しました。これにより、「どの方向の眺望が市場で高く評価されているか」をデータで把握することが可能になります。
一般的な不動産分析は立地条件や築年数に焦点を当てますが、今回のように眺望を軸に比較することで、湾岸タワーマンションの特異な価格形成メカニズムをより鮮明にすることができます。
各マンションの結果
図1:ザ・東京タワーズ眺望

総戸数約2,800戸、日本最大級のツインタワーマンションとして2008年に誕生した「ザ・東京タワーズ」。湾岸エリアのランドマーク的存在であり、現在も人気は高いままです。
調査結果では、南西方向が最も高く、次いで南東方向が高値を示しました。
南西:レインボーブリッジを正面に望むことができ、夜景や開放感の面で圧倒的な価値。 南東:東京湾の水平線まで見渡せる景観が魅力。
この結果から、レインボーブリッジビューと東京湾ビューが価格形成に直結していることが分かります。
図2:勝どきザタワー眺望

2016年竣工、総戸数1,420戸。湾岸の中でも特に資産性の高いマンションと評価されています。
分析の結果、南西方向が最も高く、次いで北西方向が高いという傾向が見られました。
南西:レインボーブリッジビュー。湾岸ならではの眺望資産として高く評価。 北西:浜離宮恩賜庭園と都心の高層ビル群を一望できる点が大きな魅力。
つまり勝どきザタワーの場合、湾岸ビューだけでなく「緑と都市景観」を組み合わせた眺望も評価されていることが特徴です。
図3:パークタワー勝どきサウス眺望

2023年竣工、総戸数1665戸。最新の設備や共用施設を持つ新世代のランドマークタワーです。
結果は、南西が最も高く、次いで南・南東がほぼ同等という傾向でした。
南西:やはりレインボーブリッジを臨む住戸が突出して高値。 南:日当たりが良好で、レインボーブリッジの一部を視認できる住戸も。 南東:東京湾の広がりを享受できる。
最新マンションでも「レインボーブリッジビュー+抜け感」が価格を左右する軸であることが確認できました。
眺望プレミアムの正体
今回の調査を通じて、中央区湾岸のタワーマンションにおける価格形成には、明確な傾向が見えました。
南西方向=最も高値
レインボーブリッジビューは唯一無二の資産。
南・南東=高水準
東京湾の開放感と日照条件が評価される。
北西=一部物件で高評価
勝どきザタワーのように、浜離宮+都心摩天楼の組み合わせは例外的な人気。
北・西=相対的に低め
建物に視界を遮られることが多く、価格プレミアムは限定的。
つまり、湾岸タワーにおいては単なる「南向きだから高い」という一般論ではなく、“何が見えるか”という眺望資産こそが坪単価を決めるカギになっているのです。
まとめ
中央区湾岸タワーマンションの価格形成を眺望の観点から分析した結果、以下の点が明らかになりました。
南西=レインボーブリッジビューが最も高評価
南・南東=東京湾の景観により高水準を維持
北西=一部物件では庭園や都心ビューで高評価
眺望の「抜け感」が価格を決定づける重要要因
不動産の価値は築年数や立地条件だけでなく、湾岸特有の景観資産によっても大きく左右されます。今後、湾岸タワーマンションを購入・投資する際には、「窓からの景色」が将来の資産価値を左右する最重要ポイントの一つになるといえるでしょう。
筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社
データ事業開発室
不動産データ分析責任者
福嶋総研
代表研究員
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、
建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。
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