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【東京都湾岸タワーマンション】在庫が増えているにもかかわらず、価格が下がらない理由。

東京都湾岸タワーマンションマンションレポート 2025年1月

 
東京都湾岸タワーマンションの成約坪単価は2024年6月に都心5区の成約坪単価を上回り、以降も都心5区よりも高い又は同等の水準を保っています。従って、2024年の湾岸タワーマンションの価格は、都市5区を凌ぐほど、大きく高騰しました。
 

参考:【激動の2024年を振り返る】異常な過熱をみせた湾岸タワーマンション!ついに都心5区平均坪単価超えも
 

また2024年における湾岸タワーマンションは値下げの頻度がさらに減少しているにも関わらず、販売期間も短期化しました。これは「出し値で(値下げしなくても)すぐ売れる」という事を示しており、非常に需要が高いことを示しています。
 

一方で在庫数(供給数)は増加傾向にあるにも関わらず価格の高騰はいまだ衰えが見えません。
 

まとめ

東京都湾岸タワーマンションは在庫が増えているにも関わらず、価格高騰をし続けています。これは、湾岸タワーマンションの売主の多くが、非常に強気かつ売却に焦っていない為、流動性が低いと考えられるものも在庫とカウントされているからです。従って実際には購入したいのに購入できない消費者が多いという現実は、変わっていません。
 

東京都湾岸タワーマンションの在庫数は増加傾向

グラフ1:東京都湾岸タワーマンション在庫推移
 

出典:福嶋総研

 

グラフ1では湾岸タワーマンションの在庫推移を示しています。2024年8月から上昇傾向にあり、需給関係を考えれば価格高騰にブレーキがかかるはずなのですが、グラフ2で示すように価格はいまだ高騰しており冒頭でも述べた通り、成約坪単価は2024年6月に都心5区の成約坪単価を上回りました。
 

グラフ2:東京都都心5区、23区及び湾岸タワーマンションの成約坪単価推移
 

出典:福嶋総研

 

在庫が増えているのに価格が高騰している理由

株式会社FJリアルティ(東京都中央区築地6-4-5)藤田祥吾氏によると、データのみでこの現象を紐解こうとしても限界があり、湾岸タワーマンションの売主の心理を読み解く必要があるとのことです。湾岸タワーマンションの売主の多くが、売却に焦っておらず早く売りたいと思っている人が少ない中、データ上ではそのような物件もカウントされるため、在庫が多い=売れ残っているように見えます。
 

グラフ3:東京都湾岸タワーマンション:成約坪単価と募集坪単価
 

出典:福嶋総研

 

グラフ3では、湾岸タワーマンションの平均募集坪単価と平均成約坪単価を示しており、募集坪単価と成約坪単価の差は徐々に拡大しています。つまり高価格で売れるなら売却するというチャレンジ層が増えており、希望の価格で売却できないのならば、売却しないという強気の売主が多い状況です。見かけ上の在庫が増えており、経済学的な需給関係とは異なるものである為、在庫が増えていても価格が高騰しているという現象が起こっていると考えられます。
 

筆者プロフィール

福嶋 真司(ふくしましんじ)

マンションリサーチ株式会社

データ事業開発室

不動産データ分析責任者

福嶋総研

代表研究員

早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、

建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。

福嶋総研発信リンク集

https://lit.link/fukushimasouken

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