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【首都圏中古マンション】価格高騰トレンドの転換から新たなトレンドが形成!?今後の成約価格と初売出価格の行方はいかに
価格転嫁のスイッチ現象が起こっている?
まとめ
首都圏の中古マンション価格は2024年8月以降低調に推移している一方で、新規売出価格・在庫価格は大きく高騰しています。成約価格が低調なのは、ボリュームゾーンの9000万円以下の物件の成約単価が下落し、高価格帯物件の売れ行きがやや落ちてきている事に起因すると考えられます。また新規売出価格・在庫価格はこれまでの高騰トレンドにより、売主が強気な価格設定をするものの、売れずに在庫化する為、新規売出価格・在庫価格を引き上げている為と考えられます。
首都圏中古マンションの価格推移
グラフ1:首都圏中古マンション価格推移
2024年10月レインズタワー月例速報によると一都三県中古マンション成約平米単価は、2024年7月を天井として、8月、9月、10月はやや低い水準にとどまりました。(グラフ1参照)。マンションリサーチ株式会社では本現象の実態と構造を調査しました。
集計期間:2020年1月~2024年10月
調査対象:エリア/東京都・種別/実需マンション
調査期間:マンションリサーチ株式会社
調査方法:期間内の中古マンション売出事例を集計
高額物件の在庫が大きく増加
グラフ2:東京都23区3億円以上の中古マンション在庫数
グラフ2では東京都23区の高額物件在庫の推移を表しています。これは8月、9月に新規売出された高価格中古マンションの売行きが振るわず、9月、10月の在庫として積み上がった為と考えられます。
9000万円以下の中古マンションは価格が下がっている
グラフ3:東京都23区9000万円以以下の中古マンション成約坪単価の推移
グラフ3では東京都23区の9000万以下の中古マンションの成約価格の推移を表しています。この価格帯は東京都23区の大多数を占めている為、実質的な価格の動きを反映しています。首都圏成約単価が大きく高騰した2024年7月以降は下落しており、2024年10月は2023年10月と同水準となっています。
再販中古マンションの新規登録数の減少
グラフ4:四半期毎:東京都中古マンション新規売出件数の再販マンションの割合
グラフ4では東京都の再販中古マンションの全中古マンション新規売出数に対する割合の推移を表しており、2024年1Q以降大きく減少しています。この事は再販物件の仕入れ価格が高騰しており、再販時の価格が消費者の許容できる範疇を上回っている為だと考えられます。
総括
これらの要因を総合的に考えると、中古マンション価格が高騰し過ぎた為、消費者の許容できる価格を上回りつつある事が示唆されます。従って高価格帯物件の売行きは悪化し、ボリュームゾーンの物件価格も下落の傾向にあります。一方でこれまでの高騰トレンドは、売主を強気にさせ、新規の売出価格は高騰しているものの、在庫化する傾向にあるようです。
筆者プロフィール
福嶋 真司(ふくしましんじ)
マンションリサーチ株式会社
データ事業開発室
不動産データ分析責任者
福嶋総研
代表研究員
早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、
建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。
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