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2024年10月現在までの中古マンション再販市場を紐解く

 
昨今熾烈な物件仕入合戦を繰り広げていると言われている中古マンション買取再販業界ですが、マンションリサーチ株式会社ではその状況を調査しました。

集計期間：2020年１月～2024年10月

調査対象：エリア/東京都・種別/実需マンション・面積/50㎡以上

調査期間：マンションリサーチ株式会社

調査方法：期間内の中古マンション売出事例を集計
 

本調査結果のまとめ

東京都における再販マンションの供給量は、予想に反して2024年第二四半期から減少に転じました。一方で中古マンション全体の供給量は、2024年第三四半期は非常に増大しました。中古マンションの流通量は増えているのに、再販マンションは減少しているということです。これは、マンション価格が高騰したことにより仕入れ価格が高騰したため、再販時の市場価格が相場を上回ってしまい、安易に仕入れが出来なくなったことに起因すると考えられます。

東京都：再販マンションの新規売出件数の減少

以下のグラフでは東京都の再販マンションの新規売出件数の推移を示しています。
 
グラフ1：東京都再販マンション新規売出件数の推移（四半期毎）

 
東京都再販マンションの新規売出数は、2020年のコロナ禍以降大きく上昇し、その後横ばいで推移してきましたが、今年2024年第二四半期に入り、減少傾向にあります。

中古マンション平均購入価格の上限

以下のグラフでは東京都の再販マンションの平均成約坪単価の推移を示しています。
 
グラフ2：東京都再販マンション平均成約坪単価の推移（四半期毎）

 
東京都再販マンションの平均成約坪単価は、2020年第一四半期以降高騰し続け、2024年第二四半期以降更に一段大きく高騰しました。現在の再販マンションの販売時の価格が、相場上のマンション購入価格の上限値にあり、グラフ１のように、直近の新規売出数が減少していること考えられます。

中古マンション新規売出件数から予期される、再販物件取得の困難さ

以下のグラフでは東京都の「中古マンションと再販マンションの新規売出数」の推移と「中古マンション新規売出件数のうち再販マンションの割合」の推移を示しています。
 
グラフ3：東京都中古マンション新規売出件数の再販マンションの割合（四半期毎）

 
東京都の中古マンションの新規売出件数は、2024年第三四半期に大きく増加したにもかかわらず、再販マンションは減少しています。そして、その割合も大きく下げています。従って、中古マンション市場においては、再販マンションを仕入れることが困難になっていと考えられます。

総括

不動産仲介業からの参入が多く、現在でも参入業者が増えている買取再販市場ですが、明らかに供給量は減少しているため、更なる熾烈な仕入れ合戦が繰り広げられることが予想されます。一方で消費者サイドの購入価格の限界に近付いていると考えられ、本市場においては今後より緻密な出口戦略なくして参入するには、大きな危険性をはらんでいると考えられます。

筆者プロフィール

福嶋 真司（ふくしましんじ）

 

マンションリサーチ株式会社

データ事業開発室

不動産データ分析責任者

 

福嶋総研

代表研究員

早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、

建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。

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