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山手線内側(都心五区+文京区)の中古マンション市場調査。「中古マンション価格が高騰している」ように見える原因とは

 

中古マンション価格が高騰している主要因となっているエリアを詳細に調査

東京都23区の中古マンション市場は依然として価格の高騰が見られるという論調ですが、未だ過熱状態にあるのは都心五区などの一部のエリアです。今回マンションリサーチ株式会社(東京都千代田区神田美土代町5-2)及び一心エステート株式会社(東京都渋谷区恵比寿南1丁目1-1)は都心五区に文京区を加えた山手線の内側(一部外側)について調査しました。

 

結果

山手線内側の中古マンション価格は、東京都23区全体と比較しても大きく高騰しており、平均販売期間も短縮化する形で推移しており、平均販売日数約88日となっています。また皇居周辺及び皇居南側は価格の高騰率が高いようです。特に港区・中央区は概ね高い高騰率を示しました。文京区においては、中心エリアである白山・小石川エリアは低調で、むしろ外側の千駄木・根津エリア、千石・本駒込エリアの方が高騰率が高いという結果が得られました。(図1参照)

 

図1:山手線内側エリア(一部外側)の価格高騰率の分布

出典:googleマップにて筆者が作成

赤プロット:20%以上高騰

黄プロット:20%未満10%以上高騰

緑プロット:10%未満5%以上高騰

青プロット:5%未満高騰

 

 

 

山手線内側の中古マンション平均成約坪単価推移

以下のグラフでは山手線内側の中古マンション平均成約坪単価の推移を示しています。

 

グラフ1:東京都23区の中古マンション平均成約坪単価推移

出典:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken

 
山手線内側では、コロナ禍以降も中古マンション価格が高騰しており、2024年9月においては2023年1月比で約30%高騰しています。23区では約20%だったことを考慮しても非常に大きく高騰しました。
 
 

山手線内側の販売期間と値下げ回数

以下のグラフでは山手線内側の中古マンションの「販売期間」と「値下げ回数」を示しています。

 
グラフ2:山手線内側の中古マンションの「販売期間」と「値下げ回数」

出典:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken

 
山手線内側の中古マンションの「値下げ回数」が減少していく一方で、「販売期間」は短縮化しており9月においては約88日となっています。この事は、「値下げ」をしなくても「すぐ売れる」という状況で、需要が高まっていると考えられます。

 
 

山手線内側と東京都23区全体の販売期間と値下げ回数の比較

以下のグラフでは山手線内側と東京都23区それぞれの中古マンションの「販売期間」と「値下げ回数」を示しています。
 
グラフ3:山手線内側と東京都23区の中古マンションの「販売期間」

出典:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken

 
 
グラフ4:山手線内側と東京都23区の中古マンションの「値下げ回数」

出典:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken

 
グラフ2でも示しましたが、山手線内側では値下げ回数は減っているのに販売日数は短期化しており、非常に売れ行きが良いマーケットです。また上記グラフ3、4が示しているとおり「値下げ回数」「販売期間」のいずれも東京都23区よりも少なく短い状態であり、東京都23区全体としても本マーケットの強さが垣間見れます。

 
 

山手線内側の新築マンション竣工棟数

以下のグラフでは山手線内側の新築マンション竣工棟数を示しています。

 

グラフ5:山手線内側の新築マンション竣工棟数

出典:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken

 
山手線内側の新築マンション竣工棟数は2004年をピークに減少し続けています。これは、既に本エリアに多くのマンションが建てられている為、開発用地の取得が困難になっている為です。従って、本エリアではマンション供給が減少する一方で、増大する流入人口を支えなければならない為、相対的に今後も需要が高まることが予測されます。

 
 

山手線内側の中古マンション価格高騰率のランキングと可視化

以下の表は、山手線内側の中古マンション価格高騰率のランキングを示しています。

 

表1:山手線内側の中古マンション価格高騰率のランキング

出典:福嶋総研 https://lit.link/fukushimasouken

 
また下の図では、各エリアの高騰率の分布を示しています。
 
図1:山手線内側エリア(一部外側)の価格高騰率の分布

出典:googleマップより筆者が作成

赤プロット:20%以上高騰

黄プロット:20%未満10%以上高騰

緑プロット:10%未満5%以上高騰

青プロット:5%未満高騰

皇居周辺及び皇居南側は価格の高騰率が高く、特に港区・中央区はほとんどのエリアで高い高騰率を示しました。また文京区においては、中心エリアである白山・小石川エリアは低調であるにもかかわらず、その外側の千駄木・根津エリア、千石・本駒込エリアの方が高い高騰率をしました。

 
 

筆者プロフィール

 

高田 一洋(たかだ かずひろ)氏

 

一心エステート株式会社

代表取締役 不動産コンサルタント
 
【保有資格】宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/損害保険募集人資格/管理業務主任者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士/住宅金融普及協会住宅ローンアドバイザー/相続診断士

1983年福井県生まれ。金沢大学工学部を卒業後、大手コンサルティング会社に入社、4年間、新規事業の立ち上げや不動産会社のコンサルティング業務に従事する。

その後、当時の取引先リストグループに惹かれ入社。不動産売買仲介営業・営業管理職・支店長を経て、さらなる理想を追求するために一心エステートを創業。創業当初から金融機関・不動産会社へのコンサルティングを行い、ARUHI住み替えコンシェルジュでセミナー講師などを務める。

豊富な不動産知識に加え、20代で身に付けたコンサルティング技術、ファイナンス(お金・投資の知識)をもとに、東京都心の不動産仲介実績を積み上げている。

2023年に著書「住んでよし、売ってよし、貸してよし。高級マンション超活用術: 不動産は「リセール指数」で買いなさい」(みらいパブリッシング)を出版。

 
 

福嶋 真司(ふくしましんじ)

 

マンションリサーチ株式会社

データ事業開発室

不動産データ分析責任者

 

福嶋総研

代表研究員

早稲田大学理工学部経営システム工学科卒。大手不動産会社にてマーケティング調査を担当後、

建築設計事務所にて法務・労務を担当。現在はマンションリサーチ株式会社にて不動産市場調査・評価指標の研究・開発等を行う一方で、顧客企業の不動産事業における意思決定等のサポートを行う。

 

福嶋総研発信リンク集

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