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プレスリリース【中古マンション】東京都23区2024年は中古マンション価格下落が濃厚?「目黒区」「品川区」でも売り手の弱気な姿勢が顕在化
実態を隠す『高騰』と、実態を表す『二極化の兆し』。目黒区・品川区での価格下落が予測される。
2023年も、中古マンション価格は高騰を続けました。しかし、在庫価格と新規登録価格は下落傾向が続いています。加えて、23年後半頃から成約価格が新規登録価格や在庫価格を上回るという非常に稀有な状況が見られているのが現状です。
これらの事象は、成約マンションのエリアや価格帯に偏りが見られていることを示唆しており、もはや「平均成約価格」の上昇はマンション市場の実態を反映していないとも受け取れます。
そこでマンションリサーチは「価格改定数」や「成約に至るまでの価格下落額」という観点から、2024年の中古マンション価格の行方を推察しました。
出典:東日本レインズのデータよりマンションリサーチ独自に作成
本記事のまとめ
コロナ禍では、東京都23区全域で異常なまでの中古マンション価格の高騰が見られました。いまだ平均成約価格は高騰を続けていますが、確実に売れるマンション・売れないマンション、上がるマンション・下がるマンションの二極化は進行しています。
今回の調査で都心5区に準じる目黒区・品川区でも価格下落の兆しが見られたことから、2024年以降、この二極化が23区内にまで波及することが予測されます。
目次
1|「平均価格改定数」は売り手の取引姿勢を表す指標
1-1|コロナ禍前と2023年の相違点
2|2024年東京都23区中古マンション市場は下落トレンド
2-1|目黒区・品川区でも売り手の弱気な姿勢が顕在化
2-2|目黒区・品川区の価格改定数が増加
3|【まとめ】東京23区でも「二極化」の兆し
1|「平均価格改定数」は売り手の取引姿勢を表す指標
中古マンション取引の現場では、取引環境に大きな変化がなく、一定の在庫数がある今のような状況で市場のトレンドを左右するのは、売り手の取引姿勢だと考えられます。取引姿勢とは、つまり強気な価格で売り出してその価格を維持するのか、はたまた探り探り価格を引き下げていく弱気な姿勢が見られるかどうかということです。
売り手の取引姿勢の動きを定量化するために用いるのが「平均価格改定数」です。平均価格改定数とは、マンションが成約にいたるまでに価格を改定した平均値を指します。
中古マンションの取引は売主が主体となりますが、売主から委託された不動産会社の営業担当者の知識や助言は売主にとって大きな指標となります。営業担当者は現場に立つ中で、その時々の市況や競合物件の存在、動向を加味して値下げを助言します。
値下げの回数と価格の下げ幅には強い相関があり、値下げの回数が多いほど値下げ価格も大きくなります。従って、「値下げの回数」が売り手の売却姿勢を表しているということができるのです。
東京都23区の平均価格改定数および平均販売期間は、一度目の緊急事態宣言解除と同時に下がり続けました。しかし、2022年に入ってから徐々に増加し始め、2023年はほぼコロナ禍前の水準にまで戻っています。
コロナ禍では、平均価格改定数が1.0を下回る月も見られました。つまり、価格改定を一切せずに成約にいたる物件も少なからず見られたということ。旺盛な需要と在庫数の減少により、売り手は強気な姿勢で売却に臨んでいたのでしょう。ただ現在はその強気な姿勢も徐々に薄まり、現場では売り出し価格の設定や価格の調整に迷いがあるものと考えられます。
1-1コロナ禍前と2023年の相違点
2023年の平均価格改定数はコロナ禍前と同水準であるものの、平均販売期間についてはコロナ禍前を上回っていることがわかります。これは価格を見直しても成約にいたらない物件が増えていることを示しており、現場でこの兆候が察知されれば、価格改定数の増加や売り出し価格の下落につながると考えられます。
在庫が増えるとともに販売期間が長期化しており、これ以降、売れ行きが良くなることは考えづらいことから、中古マンションは下落局面に入っているものと見られます。
2|東京都23区2024年中古マンション市場は下落トレンド
2023年の東京都23区の改定幅や成約にいたるまでの下落額もまた、コロナ禍前を上回っています。コロナ禍前は、平均価格改定数は2023年と同水準であるものの、1回の価格下落額は200万円程度、成約にいたるまでの下落額は270万円程度が平均でした。
コロナ禍では価格を改定せずに売れる物件が増え、価格を改定した物件においても下落幅は200万円程度で推移していましたが、2023年の1回あたりの下落額は240万円程度、成約にいたるまでの下落額は360万円程度にまで増額しています。
「まだまだ不動産価格は高騰する」
「2024年も不動産バブルは継続する」
このような声も聞かれますが、高騰するとしてもそれは一部の中古マンションであり、積み上がる在庫・増大する価格下落額・売り手の取引姿勢の軟化を踏まえれば、高騰する材料はなく、2024年の中古マンション市場は下落トレンドにあると考えられます。
2-1「目黒区」「品川区」でも売り手の弱気な姿勢が顕在化
上記の表では、筆者が現在までの価格と在庫回転率のトレンドから東京都各区の今後の価格のトレンドを予測しました。
用語解説
在庫回転率:その時の「売り手」の数からみて「買い手」がどのくらい多いかを示す指標。この数値が高ければ高い程、需要が高い。 |
上記のように、千代田区・中央区・港区・渋谷区・新宿区の都心5区は在庫回転率が高く、成約価格も横ばいから増加傾向にあることから、マンション取引が少ない千代田区を除き、今後も高騰するものと考えられます。
一方、都心5区に準じてマンションが多く、価格も高い「目黒区」および「品川区」の在庫回転率は低く、成約価格も減少あるいは横ばいとなっており、今後、価格は下落に転じると予測されます。品川区には多くのタワーマンションがありますが、同様にタワーマンションが多い江東区や港区とは異なる様相を呈しています。
港区・江東区の動向については以下の記事をご参照ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000055.000013438.html
2-2目黒区・品川区の価格改定数が増加
上記グラフは、成約に至るまでの平均価格改定数の推移を表しています。値下げの回数と価格の下げ幅には強い相関があり、値下げの回数が多いほど値下げ価格も大きくなります。従って、「値下げの回数」は売り手の売却姿勢を表しているということができます。
目黒区・品川区の価格改定数は、コロナ禍前から2022年頃まで23区全域よりも少ない、23区の中でも強気の売却姿勢が見られていました。しかし、22年以降は徐々に23区全域との差がなくなり、23年からは逆に目黒区・品川区の価格改定数が上回る状況になっています。
23区全域を見ても、徐々に売り手の姿勢は軟化していることが読み取れますが、目黒区・品川区はコロナ禍から現在に至るまでの落差が大きく、これまでの強気の姿勢の反動が見られているものと推測されます。
中古マンションの平均成約価格自体は上昇しており、エリア的にも常習的に強気に値付けすることが続いていることから、売り手の予測と価格トレンドの実態との乖離が価格改定数の増加という形で現れているのかもしれません。
3|【まとめ】東京23区でも「二極化」の兆し
コロナ禍では、東京都23区全域で異常なまでの中古マンション価格の高騰が見られました。いまだ平均成約価格は高騰を続けていますが、確実に売れるマンション・売れないマンション、上がるマンション・下がるマンションの二極化は進行しています。
今回の調査で都心5区に準じる目黒区・品川区でも価格下落の兆しが見られたことから、2024年以降、この二極化が23区内にまで波及することが予測されます。
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