競合が発見できていない「一歩先」を目指す
弊社は今、既存のサービスだけではない新しいことにどんどん取り組んでいます。私は不動産営業も経験しているのですが、今は当時の自分が「こんなの欲しかった!」と思うものを企画・立案しています。その一方で、不動産会社さんともよくお会いするようにしているのですが「現場の声」を受けて、そのまま商品化することはあえて避けています。というのも、顕在化しているニーズは他の誰かがすでにキャッチしているから。私たちがやりたいのは、潜在的なニーズをカバーできるような、業界があっと驚くようなサービスの開発です。
マンションリサーチの強みは、膨大な不動産取引事例を有していること。しかし、不動産営業をしていた当時の自分からすれば「だから何?」なんです。もちろん、不動産会社さんも不動産を売買する方も、間違いなく過去の事例は知っておいたほうがいいものでしょう。でも「その膨大なデータで何をしてくれるの?」と、当時の私だったら思うはずなんです。
今、取り組んでいるサービスは、まさに“その先”を提供するもの。より実践的に使えるように、よりエンドユーザーさんに提案しやすい形で、より業務効率化に貢献できる仕様で、余計なものは削ぎ落として、弊社の強みであるビッグデータを活用していただけるように落とし込んだものをご提供しています。これは、不動産業界の透明化にもエンドユーザーさんの利益にもつながるものだと確信しています。
ベンチャー企業は「バンド」の成り上がりと同じ
不動産営業になる前は、音楽活動をしておりまして。インディーズから大手メジャーとの契約を経験し、海外でライブをすることもありました。そんな経験がある私からすると、弊社のようなベンチャー企業ってバンド活動と、とても似ています。
仲間を集めて、何かを生み出すこと。各々が奏でる旋律が、1つになっていくこと。10個、20個創作する中で、ヒットするものがようやく生まれること。生まれないこともあること。形にならないものもあること。リリースするまで反響はわからないこと。バンドにもブランディングがあること…これら全てが、バンド活動でもベンチャー企業でもいえることです。
なにより「人」が大事であることも、バンドと企業は同じ。マンションリサーチは本当に人に恵まれているので、良い音が奏でやすいんですよ。一人ひとりの個性が強いので、動物園みたいですけどね(笑)個性を尊重している社風であり、目的がしっかりしているからこそ、演奏が始まると1つになる。
ミリオンセラーである必要はない「刺さる」サービスを
マンションリサーチに入ったあとも、迷走している時期はありました。既存サービスのフォローだけをしていていいのだろうか、変わる時代の中で生き残っていけるのだろうか、自分がすべきこととは……でも、バンド経験然り、不動産営業経験然り、この遠回りも、決して無駄ではなかった。これまでの全ての経験が今に活きています。今が一番、人生で面白いステージにいると思います。
不動産取引のビッグデータに関しては、弊社が長年、保有していて、現在でも毎日新しい情報が追加されていっています。非常に貴重なデータではあるのですが、それだけでは「サービス」にはならないんですよね。スペックが高いだけでは、商品化したとはいえません。取り扱い説明書があって、利用性を高めて、実践で使えるようにして、初めてサービスとなるのです。ここまで辿り着いたのは、自分だけでなく、社員みんなのこれまでの経験が形になったからだと思います。
今後のことは、正直よくわかりません。これもバンドと同じ。いかに敏腕なプロデューサーでも作曲家でも、どこでどんな曲が売れるかはわからないんですよ。ただ、私たちのような企業にとって、少し先の未来を読む力は不可欠です。最初の話に戻りますが、潜在的なニーズをカバーできるような、業界があっと驚くようなサービスを先読みして開発していくには、組織にいるメンバー全員がこの気持ちを持っていなければなりません。ベースが抜けても、ギターが抜けても、ドラムが抜けても、演奏はできませんから。会社としては、ミリオンセラーを目指すのではなく、特定のファンに激刺さりするような「名作」を作っていきたいですね。